歯科用マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使った精密治療
1. 歯科用マイクロスコープを使う意義

私自身の出身地であるこの場所で開業して衝撃を受けた患者さんの言葉があります。
「歯医者の仕事は噛める入れ歯を作ること」
現代の日本人の生活環境において全ての人がご自身の歯と同じ様に違和感もなく噛める入れ歯という物があるのでしょうか?
私は「歯医者の仕事は歯を残すこと」だと思っています。現代、日本人の平均寿命が延びているからこそ歯の重要性は高まってきています。その為になるべく歯を削らない、抜かないことが重要だと考えています。
マイクロスコープを使うことによってどこが感染源になっているかを目視できることにより正確に診断をおこない、更に感染した組織を丁寧に取り除くことができるようになります。
マイクロスコープと同じぐらい重要な事が時間です。どれだけいい設備を用いても十分な時間がとれなければ良い治療はできません、その為、当院は完全予約制としております。当日キャンセルや無断キャンセルが多い方はご自身のライフスタイルにあった歯科医院をすすめさせて頂くこともあります。
2. 歯科用マイクロスコープの特徴
歯科用マイクロスコープは眼科や脳神経外科などの手術で使われていた手術用顕微鏡を歯科用にしたものです。医科の手術では血管や神経など肉眼では見えない手術を顕微鏡を使って治療しているのをテレビでご覧になったことがある方もおられると思います。
歯科でのマイクロスコープの普及率は5%ほどといわれています。ただ国内外で研鑽をつまれ歯科医師の研修をおこなうインストラクターの先生方の歯科医院では導入されています。私自身も研修に参加させて頂き必要性を感じて導入することにしました。
皆さんが非常に細かい作業をする時を想像して下さい。虫眼鏡等を使って大きくみえるようにしてから、細かい作業をする為の道具を使って作業をすすめていくと思います。歯科医療も非常に細かい治療となります。マイクロスコープを使って最大21倍に拡大してみえるようにし、専用の器具を用いて治療を行います。
またお口の中は非常に暗く、昔からある歯科のライトでは暗くて見えにくいところもあります。更に頭上から照らす為、自分の手や器具が影になってみえにくいこともありました。マイクロスコープは治療部位に直接強い光を当て、照らすことによりはっきりと病気の部位がわかるようになります。
3.4倍 | 8.5倍 | 21.25倍 |
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3.4倍 | 8.5倍 | 21.25倍 |
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虫歯治療について
マイクロスコープで拡大すると、虫歯で感染している部分と健康な歯の部分が正確に認識できます。その為に、肉眼で使用する器具よりも小さな器具を使えるようになりました。削る部分を最小限に抑えることができます。
根っこの治療について
歯の根っこは根の先(歯の頭の反対側)になるほど細くなります。根の先の直径は1mm以下になってくることもあります。
ただ細菌はそこで繁殖することができ根が感染していくこともあります。その部分は肉眼でみることは不可能です。昔からその部位は術者の勘に頼らざるをえないところでした。マイクロスコープによって根の先まで確認できる幅がかなり広がりました。
そして感染を除去することによって再発の可能性を下げることができるようになりました。
かぶせ物、詰め物治療について
テレビ台やたんすの裏をみたことはありますか?すごい埃が溜まっていると思います。ここにもと驚く時もあります。掃除しにくい隙間は埃が溜まって気になりますよね。こんなところに隙間が無ければいいのにと思うこともあります。
ただ、掃除しないとどんどん溜まっていき不衛生ですよね。歯科医療も似たような治療があります。
歯を削った後に詰め物やかぶせ物をされたことはありますか?マイクロスコープを使うことによって歯とかぶせ物や詰め物の隙間をしっかりと確認することができます。それによって食べかすがたまりにくい環境を作り境界から虫歯になることが防げます。